M1 会議で議論が広がらない、深まらないときの対処法


 

会議中、議論が煮詰まって、考えが広がらない、深まらないこともあるだろう。こんな時には対処法がいくつかある。端的な「発言」で示すので、上手く使って欲しい。現状打開のきっかけを得る一助になれば幸いである。

(1)「もう一度、事実を整理してみましょう」(振り出しにもどって、事実を確認する。)
議論が煮詰まったり、水かけ論になったりするのは、参加者がいきなり持論や解決案をぶつけ合って、その良し悪しを指摘し合っている場合が多い。こんな時は、もう一度「分かっている事実を全て確認し、整理して、共有する」ことが大事だ。要は、対策や結論を論じる前に、現状をしっかり分析すること。初診で一言二言ことばを交わしただけで、医者から処方箋を渡されたら、不審に思うだろう。「処方する前に、診察・診断する」のは、医療でも、経営でも同じだ。

ただし、この時も事実を整理しているつもりで、対策や思い込みが入ってしまうことがあるので、留意したい。例えば、ある製品の販売不振を議論する際、①「売上が落ちている」、②「営業マンの製品知識が不足している」、③「過去3年間営業マンのトレーニングを行っていない」。これらは事実として挙げられる事柄だが、これをもって④「売上アップのために営業マンの製品トレーニングが必要」というのは、事実のまとめとしては適さず、かつ、対策としても「早とちり」の可能性があるので要注意(末尾に補足する)。

(2)「そもそも、何が目的なんでしたっけ?」(何のための議論かを再確認する。)
議論しているうちに、議題が本筋から外れて、どんどん細かいテーマに入り込んでしまうことがある。そんな時、この一言で参加者に本来の目的を再認識させ、議論を本筋に戻すことができる。よくコンサルタントが使う言葉でもある。

(3)「〇〇の立場になったら、どう考えますか?」(視座を移し、視野を広げて考える。)
〇〇に入るのは、より広い領域の責任者や、グループ外の人など。例えば、課単位の議論なら、二段階上の上司(事業部長や社長)の立場、社内の議論なら、顧客や競合相手や株主などの社外の立場から考えてみる。

(4)「もし、この条件がなかったら、どうなりますか?」(暗黙の前提条件を外して考える。)
議論には、暗黙の前提(制約)条件がついていることが往々にしてある。いったん、これを外して考え、その後、その前提が実際に外せないものかを議論する。ただし、暗黙の前提を特定することは意外に難しいのと、前提を崩すことも困難な場合が多いので、これは難易度が高いと言える。

最後に、それでも現状が打開できない場合は、

(5)「今日はここまでとして、後日続きをやりしましょう」(中断して、考えを寝かせる。)
同じ話の堂々巡りだったり、本論の周りの藪をたたくような話ばかりで、時間を浪費してしまうことも良くある。そんな時は、いったん中断する。15分程のブレイクが効果がある場合もあるが、出来れば日を改めて「考えを寝かせる」ほうがいい。「考えを寝かせる」とは、「参加者が一晩寝る」という意味だ。人間は寝ると、考えが整理され、新たなひらめきを得ることも少なくない

(1)~(5)の発言は、適時に自然に言えるようにしておきたい(そのためには、それぞれを自分流の言葉にして、先ずは今、5回ずつ声に出して言ってみることだ)。

多くの産業が成熟期にあり、現状打破には単なる「頑張り」ではなく、「知恵」が求められている。職場が優れた「知恵」を出すには、日々の会議を活性化し、議論の質を上げる「スキルと工夫」が、どうしても必要だ。


(補足)事実と対策の因果関係
本文中の①、②、③が事実としても、④が結論づけられるとは限らない。売上が落ちている原因は、他にも、市場が縮小している、自社製品の競争力が落ちている、競合会社が安値攻勢でシェアを伸ばしている等々、いくつもの可能性が考えられる。営業マンの製品知識不足と売上降下の因果関係が分からない段階では、④は「早とちり」になりかねない。実際の会議では、このような(安直に対策に飛びつく)ことが起こりがちなので、特に気をつけたい。